読書日記3 【弁護士 中西一裕】

 年末ということで、今年読んだものから「読書日記」第3弾を書いてみる。 ○『子宮頸がんワクチン問題――社会・法・科学』(メアリー・ホーランド他著)  この本を最初に挙げたのは、私自身が子宮頸がんワクチンの被害者救済訴訟に…

東京弁護士会の副会長に就任します 【弁護士 中西 一裕】

2月に行われた東京弁護士会の役員選挙で、来年度の副会長に当選しました。任期はこの4月から1年間です。

 東京弁護士会は会員数約8500人の全国最大規模の弁護士会であり(日弁連会員は現在約4万1000人)、副会長は6人いますが、弁護士登録順で私が筆頭副会長の重責を担うことになります。

 弁護士会は強制加入制の自治団体であり、弁護士の使命である「基本的人権の擁護と社会正義の実現」(弁護士法1条)を達成するために、弁護士登録、研修、規律維持と懲戒等の事務を担うとともに、法律専門家団体として平和、環境、人権擁護等の広範な諸課題への取り組みや市民への法律相談、法教育等の法的サービスの提供も行っています。

 中でも憲法改正問題への対応は弁護士会の当面する重要課題であり、私も選挙政策の第1の柱として現在進められている憲法9条改訂阻止を掲げました。また、「働き方改革」や外国人労働者の権利擁護等の労働法制改悪への対応や女性差別、LGBT差別の解消等の諸課題も重要な課題と位置づけています。

 こうした社会的活動のほか、弁護士会固有の問題としては、司法制度改革のめざす弁護士の活動領域拡大の推進や急増する若手弁護士のサポート、さらには近年問題となっている弁護士不祥事の防止等の課題も弁護士会が取り組む重要課題となっています。こうした多岐にわたる弁護士会の活動を支える財政は、弁護士会館の維持管理や職員の給与等を含め全額を会員からの会費収入で賄っており、公費の援助は全くありません。したがって、会財政の確立と収支の健全化も弁護士会役員の大きな役割です。

 私にとって今年は弁護士30年目の節目の年にあたります。これまで弁護士会の活動としては弁護士研修や法科大学院の支援などに取り組み、日弁連の事務次長等の役職も経験してきましたが、この1年はホームグラウンドである東京弁護士会の役員として尽力しようと思っています。

 というわけで、来年3月までは弁護士会館にいることが多くなり、依頼者の皆様にはご不便をおかけしますが、事務所の事件ができなくなるわけではないので、他の所員の協力も得つつ万全の態勢で事件に取り組む所存です。

従業員の犯罪行為により取引先から契約を打ち切られた損害賠償として400万円を回収 【弁護士 中西】

相談内容

A社はサービス業を営む中小事業者ですが、従業員が出先で犯罪行為を行ったことを理由に大口取引先から契約を打ち切られ、年間3800万円の売上げ(粗利700万円)を失い、経営に大きな打撃を受けました。従業員は当然解雇しましたが、少しでも会社の損害を回復できないかと相談を受けました。