新型コロナを利用した詐欺にご注意! 【弁護士 坂本 隆浩】

<新型コロナを利用した詐欺が横行>

 新型コロナを利用した詐欺が横行しています。人の不安に付け込むもので許すことのできないものです。ぜひ身の回りの人にも注意するように呼び掛けてください。

<ワクチン接種にかかわる詐欺>

 昨年末ころから流行りだしたのは、新型コロナのワクチン接種にかかわる詐欺です。どのような手口かというと、「東京都保険局職員」「厚生労働省職員」を名乗る人物から「高齢者を対象に、特別にPCR検査やワクチン接種ができます。予約金としてウン万円が必要です。振り込んでください」とお金をだまし取るものです。

 これは詐欺ですので、決して振り込んではいけません。実在する部署名を名乗っていることもありますので厄介ですが、東京都や国の職員が電話でワクチン接種をすすめることはありません。今後、順次ワクチン接種が行われますが、お金を払えば順番が早くなることはありません。そもそも新型コロナのワクチン接種は無料なのですから。

 もし振り込んでしまうと、「予約の順番を早めるためにもうウン万円必要です」「性能の良い特別のワクチンに変更するためにもうウン万円必要です」などと、際限なくお金を要求してきます。さらには、「詐欺でとられたお金を取り返します」とお金を要求してくる場合もあるのです。

 はたから見ると笑い話のようですが、お金をだまし取られた人にとっては、お金が返ってくるならとの思いから、さらなる詐欺に引っかかってしまうのです。

 今後、ワクチン接種が始まると、この手の詐欺が増えると思われますので、くれぐれも注意してください。

<これまでの詐欺事例>

 これまでも新型コロナを利用した様々な詐欺が横行しています。

 マスク不足となった時には、一方的にマスクを送り付け、高額な代金を請求する「送り付け商法」が横行しました。宅配便でマスクが送られてきますが、そこには「7日以内に代金を振り込んでください。不要な場合は送料元払いでお返しください。返送がなければ購入したものとみなします」などと書かれた書面と、振込用紙が入っています。しかし、たとえ「返送がなければ購入したものとみなします」と書かれてあっても、購入したことにはなりません。特定商取引法という法律があって、このような送り付け商法では購入義務も返送義務もないのです。14日間待って、相手が引き取りに来なければマスクを自由に処分できます(59条)。捨てても使ってもかまわないのです。

 昨年の10万円の定額給付金はなかなか支給されませんでした。「早く支給を受けるためにATMで操作する必要があります」として金銭を振り込ませる手口、「早く支給を受けるためにはキャッシュカードを新しくする必要があります。これからキャッシュカードを取りに行きます」としてキャッシュカードをだまし取る手口がありました。

 高齢者をねらったものとして、「高齢者向けの給付金があります。キャッシュカードを用意しておいてください」としてキャッシュカードをだまし取る手口も見られました。

 助成金制度が設けられると「コロナ対策の新たな助成金があります」とのメールが届き、メールにしたがってクリックし続けることによりクレジットカード情報を盗み取られてしまうものもあります。

 「特別の融資制度がある。保証金としてウン万円を振り込んでください」という保証金詐欺の手口が使われることもあります。

 これらはほんの一例です。詐欺集団は、あらゆることを詐欺の手段として利用してきます。少し考えれば「おかしい、詐欺じゃないの」と思えるものでも、言葉巧みに話をされると、「つい、そうか」と思ってしまうものです。「うまい話」はそうそうあるものではありません。「うまい話」が来たら「詐欺じゃないのか」とまずは疑ってみてください。そして、身近な人に相談してみてください。これが詐欺に引っかからない唯一の手段と言ってもいいくらいです。