親権者からの面会交流調停申立が取下げにより認められなかった事例 【弁護士 坂本】

【相談内容】

Aさん(父親)は親権者ではありませんが,子ども(当時10歳)と一緒に生活しています。母親である親権者から面会交流を求める調停が申し立てられましたが,子どもが母親と会うのを拒否しているとして相談に見えました。

【解決内容】

 子どもは,母親と一緒に生活していた時のトラウマから,とにかく母親には会いたくないの一点張りでした。裁判所では,試行面会(裁判所の児童室での面会)を行おうとしましたが,児童室に行く途中で子どもが泣き出しうまくいきません。家裁調査官が子どもの住む近所まで来て子どもの話を聞こうとしましたが,調査官の顔を見ると泣き出し話を聞くどころではありません。双方に弁護士がついていましたので,双方の弁護士が立ち会ってファミリーレストランで会うことも2回ありましたが,子どもはテーブルを蹴ったりして面会になりません。最終的に母親が調停を取り下げました。現在も,母親との面会は実現していません。

【コメント】


東京弁護士会
坂本 隆浩
サカモト タカヒロ
Sakamoto Takahiro
 子どもが会いたくないと言っているので面会交流を拒否することはよくあります。子どもが会いたくないという理由がどこにあるのか,理由があるならそれを取り除くにはどうしたらいいのかなど,裁判官,家裁調査官,両親は考えて取り組まなければなりません。今回の件は,面会交流を実施すべきとの固定観念から子どもの真意を把握することなくすすめられてしまったように思えます。