弁護士多数在籍!東京東部法律事務所|墨田区・江東区・江戸川区・葛飾区-法律相談
新着情報

東京東部法律事務所の弁護士による活動報告

新米調停委員のつぶやきあれこれ 【弁護士 中村 悦子】

 当事者としてだけでなく、別の立場から事案を見る視点も忘れないようにしたいと考え、家庭裁判所の家事調停委員を拝命して1年半ほどが経ちました。

 弁護士の調停委員は、基本的に法的知識を基に事案を進めていくことを期待されているため、遺産分割や遺留分減殺のケースを配点されることが殆どなのですが、ご一緒する調停委員さんたちの知識量にはいつも驚かされています。「先生、これはこうですよね」などと確認されて、密かに冷や汗をかくこともしばしばです。当事者の代理人として調停に関わっている限りでは、なかなかお目にかからないようなケースもあったりして、これまで聞いたこともない手続きや申立てを経験できるのは大変勉強になり、ありがたいことだと思います。

 また、弁護士としての習い性で、『このまま行けばこの事件はどうなるのか』『次の手としてはどのようなものがあり得るのか』といった部分が見えすぎてしまうため、特に代理人をつけずにご自身で調停に臨んでいる方には、つい話をし過ぎてしまいます。しかし、調停委員は本来、両当事者間のいずれにも肩入れしてはならない立場。(あー、私を代理人につけてくれれば何とかして差し上げられるのに…!)と身もだえするような場面も多々ありました。実は、これまで弁護士として受ける法律相談では、調停について「基本的に当事者間の話し合いをベースとする手続きですから、『弁護士を付けないとダメ』ということではないですよ」などとアドバイスすることもあったのですが、調停委員をやっていると、やはり弁護士が付いた方がご本人の負担は軽く済むし、事案の進みも相対的に早くなるのは否めないと感じます。

 最も辛いのは、当事者の思いを存分に伺う時間が取れないこと。弁護士業務の中であれば、自分でいくらでも時間を割いて、ご本人のお気持ちが落ち着くまで十分にお話を伺うことができます。しかし、調停では1回につき約2時間という制限内で当事者双方に公平に時間を振り分けなければなりませんし、時には調停委員同士や裁判官との評議も入れなければならないので、ご本人の感じたことやその背景事情を伺っている時間は残念ながらあまりありません。「せっかく調停にまで来たのに、こっちの話を全然聞いてくれないじゃないか!」と気分を害される方もいる中で、いかに必要な情報を効率的に(という表現が適切でないのは承知なのですが)聞き出すかということに、毎回苦心しています。

 

 目下の目標は、弁護士調停委員として調停に関与することで、「法的知識以外の部分でも」一般調停委員とは違った効果がある…と言っていただけるようになること。各当事者としての訴えも理解でき、調停に至るまでの経緯も共有できる者として、いかにそれを過不足なく吸い上げて裁判官の前に提示できるか。そして逆に、公正な第三者としての裁判所の考え方を、いかにわかりやすく説得的に当事者にフィードバックできるか。そうしたことを考えながら、当事者双方が納得して調停を終えられるように、日々苦戦しているところです。

弁護士活動コラム   2016年05月10日   admin

原審の和解無効、立退料を大幅減額! 【弁護士 中西 一裕】

 私が担当した事件ではないのですが、法律雑誌で建物明渡訴訟の珍しい裁判例を見つけたので、ご紹介します。

 

 事案はよくある古い木造アパートの明渡訴訟で、第1審の東京地裁で立退料220万円で建物明渡の和解が成立。ところが、和解期日に出席して納得したはずの被告が立退料が少なすぎる(340万円を主張)として、和解無効を主張し続行期日を申し立てた。そこで、東京地裁は判決で和解による訴訟終了を宣言した。これに対し、被告が控訴。

 控訴審の東京高裁では、控訴人(1審被告)は原審の和解が無効であることと明渡を求める正当事由がないことを主張し、これに対し、被控訴人(1審原告)は和解が有効であることのほか、明渡の正当事由とそれを補う相当額の立退料を支払うことを主張した。

 これに対し、高裁判決は、原審判決を破棄して和解を無効と認めたうえ、立退料を40万円とする建物明渡判決を下した(破棄自判)。

 

 控訴人とすれば、主張通り原審の和解が無効と認められたものの、和解した立退料よりはるかに少ない金額で明渡が命じられ、全く意に反する結果となったといえます。なお、この場合、原審判決で立退料が認定されたのではないから、民訴法304条の不利益変更禁止は適用されないとのこと。

 本人が出席した上での訴訟上の和解が無効とされるのは珍しいですが、高裁判決によれば、原審で被告は一貫して立退料340万円を主張して譲らず、和解期日に原審裁判官が和解室の個別面談で説得して和解を成立させたが、成立後すぐに態度を翻しているという経緯から、本人の真意に反する和解であったとされたようです。

 立退料については、賃料の1年分を考慮して40万円とされました。

 

 結果的には、控訴人にはとても厳しい高裁判決です。

 被控訴人は原審の和解を有効と主張していたのだから、和解を有効とする控訴棄却判決のほうがまだよかったと思いますが、それでは控訴人の不満が残ると高裁の裁判官は考えたのでしょう。しかし、それなら高裁で裁判所の心証を控訴人に示して、強く和解勧告できなかっただろうかとも感じます。

 なお、本件は1審被告・控訴人側はほとんど本人訴訟だったようです。代理人に弁護士がついていれば、もっと適切なアドバイスと解決ができたのではないでしょうか。

 

弁護士活動コラム   2016年05月06日   admin

介護保険制度の改正について 【弁護士 清水 千晶】

 2000年に始まった介護保険制度ですが、昨年8月から費用負担等の見直しがされました。今まで、要介護認定を受けた利用者は所得にかかわらず1割の利用料を支払えば介護サービスを受けられましたが、今後は、一定以上の所得のある利用者の自己負担は2割に引き上げられました。一人暮らしの利用者であれば年金収入だけで年間280万円以上、夫婦2人であれば年間346万円以上支給されていれば2割負担となるそうです。

 また、今までは、住民税非課税世帯は、特別養護老人ホーム入所時の食費・居住費代を補填する「補足給付」を受給できましたが、これからは1000万円を超える預貯金があれば補足給付は受けられなくなりました。補足給付を受けるには預貯金が1000万円以下であることを証明するために預金通帳を提出することになり、不正がわかれば補助の3倍を返還させられる制度も創設されました。老後に備えてこつこつ預金をしてきたAさんと、やれ時計だやれ宝石だ高級家具だと購入し今も所持しているBさん。2人が同じ額の少ない年金を貰っていた場合に「ありさん生活」をしてきたAさんの方は補足給付をうけられない・・・。

 今までは、利用者が世帯分離をした場合、世帯分離前の状況に関わらず、本人が非課税であれば補足給付の対象者とされていたのが、今後は世帯分離をしていても配偶者の所得を勘案して補足給付対象者か否かを判断されることにもなりました。

 つまり、特別養護老人ホーム入居した妻は、自宅に残る夫の年金が高ければ補足給付を受けられなくなるのです。保険料は別々に満額払っているですが、支給される時は個人単位ではなくなるのですね。

 2014年の介護保障費用支出10兆円、団塊の世代が後期高齢者になる頃にはこの2倍にふくれるという予想をきくと、致し方ないのかなと思う反面、年金情報流出騒ぎでかかった支出、新国立競技場のごたごたで既に無駄に出ている支出やらを考えたり、消費税も増税されたのにと考えたりするとなんかふに落ちない気もします。

                                                                  

弁護士活動コラム   2016年04月19日   admin

「沖縄の声を日本中の声に」NBFesの活動 【弁護士 塚本 和也】

 

1 NBFes(辺野古新基地建設に反対する若手有志の会)は,首都圏の若手弁護士を中心として,辺野古新基地反対の沖縄県民の意思を本土でも拡げたいと考え、活動している団体です。当事務所からも複数の弁護士,事務員が参加しています。

 昨年7月11日に「No More Base Fes-沖縄の声を日本中の声に-」と題したアピールウォーク及び街頭宣伝を新宿にて開催しました。また、9月20日には「No More Base Fes-沖縄基地×戦争法案-」と題した学習会及び街頭宣伝を開催しました。さらに,12月20日には「No More Base Fes アピールウォーク@横浜-」と題したアピールウォーク及び街頭宣伝を山下公園から桜木町駅において行いました。これらの企画には,名護市長や国会議員の方々から応援のメッセージをいただいた上,数百人の方々に参加していただきました。

 また,「いま,辺野古で起こっていること」というリーフレットを作成し,配布や販売を始めました。12月の企画では用意した400枚全てを受け取っていただきました。

 

2 辺野古新基地建設の問題点

  沖縄の新基地建設には多くの問題がありますが、私たちは以下の3点を中心に呼びかけています。

① 民主主義を無視する暴挙であること

 国土の0.6%しかない沖縄に、在日米軍基地施設の約74%が集中しています。沖縄では、既に新基地建設反対の声が明確に示されています。沖縄での3つの選挙、すなわち名護市長選挙、沖縄県知事選挙、衆議院議員選挙において、新基地建設反対を掲げたオール沖縄の候補者が勝利しています。それにもかかわらず、安倍政権は粛々と新基地建設を進めるとして、工事の手を止めません。これは民主主義を無視する暴挙であり、許されません。

② 辺野古の豊かな自然を破壊すること

 辺野古の海は、美しいサンゴ礁が広がり、絶滅危惧種のジュゴンをはじめ多様な生物が生息するなど、美しい自然環境を有しています。しかし、新基地が建設されれば、これらの環境は破壊され、取り戻すことは困難となります。このような自然環境の破壊は許されません。

③ 新基地建設の必要性がないこと

 新基地建設の理由としてしばしば「抑止力」が挙げられます。しかし、アメリカが、抑止の主な対象と考えられる中国と対峙する可能性は、経済的にも軍事的にも考えがたく、新たに辺野古に基地を建設してまで沖縄に米軍を駐留させる必要性はありません。また,沖縄に駐留する米軍の60%以上が海兵隊です。海兵隊は急襲部隊であり、防衛のための部隊ではありません。米軍基地は日本防衛のためではなく、あくまでもアメリカの戦争のための出撃拠点でしかありません。

 また,政府は翁長知事による埋立承認取消しについて不服申立と執行停止を申し立て、さらにその「承認取消し」の取消しを求めて翁長知事を提訴するに至っています。これらの政府の手法は,行政法学者からも厳しく批判されています。抑止力論や普天間基地の問題,沖縄の基地経済や予算,政府の対応などについて,誤解している方も多いかと思いますが,下記の翁長知事の陳述書がとてもわかりやすいので,ぜひお読みいただきたいです。

 

3 私たちは、沖縄の声を無視し、平和、そして辺野古の海を破壊する辺野古新基地の強行を認めることはできません。

  ぜひ本土の皆様にもしっかりと考えていただき,「沖縄の声を日本中の声に」したいと思っています。今後の企画へのご参加やご支援をよろしくお願い申し上げます。

 

【参考】リンクをクリックすると各サイトに移動します。

NBFesフェイスブックページ

代執行訴訟 翁長知事陳述書 (琉球新報記事)

普天間基地返還の問題 ~沖縄に平和な暮らしを!~ (弁護士仲里歌織執筆記事)

弁護士活動コラム   2016年03月16日   admin

遺留分ってなに? 【弁護士 田村 文佳】

1 遺留分とは?

 「亡くなった父に遺言書が見つかり、私の相続分が全くなかった」「母が亡くなる直前に、大きな金額の財産を姉に贈与したために、相続できる額が極端に減ってしまった」。

 本来遺産はもともと被相続人の財産なので、どのように処分しようが被相続人の自由のはずです。しかし、このような場合、民法は一定の近親者に限り、遺産の一部に対し相続権を保障しています。これを遺留分(いりゅうぶん)と言います。被相続人がこの遺留分を侵害するような遺言書を作成していた場合や、生前贈与をした場合には、これらの相続人は遺留分が認められる範囲内において侵害された部分を取り戻すことができます。

 

2  誰がどれくらいの割合で認められるの?

  遺留分が認められているのは、被相続人の法定相続人ですが、兄弟姉妹には遺留分は認められていません。したがって、被相続人の配偶者、子、直系尊属(父母、祖父母など)が遺留分権利者となります。 子の代襲相続人も遺留分が認められ、胎児も無事に出産すれば、子としての遺留分が認められます。

  遺産に対する全体の遺留分の範囲は、法定相続人の構成によって異なります。被相続人の直系尊属のみが法定相続人の場合は遺産の3分の1、それ以外の場合は遺産の2分の1となります。各相続人は、これらの範囲の遺産に対し、それぞれの法定相続分に応じた権利を有することになります。

  例えば、法定相続人が配偶者と子供2名だった場合、遺産に対する全体の遺留分の範囲は遺産の2分の1となります。配偶者は法定相続分2分の1×2分の1=4分の1、子供の法定相続分はそれぞれ4分の1ずつなので、4分の1×2分の1=8分の1ずつの遺留分を有することになります。

 

3 遺留分の計算はどうやってするの?

 遺留分の額は、被相続人の財産に対する割合によって決まるので、まずはこの「被相続人の財産」の額を確定させる必要があります。「被相続人の財産」は、被相続人が相続開始の時に有していた財産に、贈与した財産を加えた額から、債務の全額を控除して計算します。 

 加算される贈与は、共同相続人の特別受益に該当するもの全てと、その他は原則として相続開始の1年以内になされたものになります。ただし、1年より前であっても当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与したものは、遺留分算定の基礎となる財産に含まれます。また、控除される債務とは、被相続人が負担した全ての債務を指し、税金などの債務も含まれます。ただし、遺言執行に関する費用などは、これに含まれないとする考えが一般的です。遺留分算定の基礎となる財産の評価は、被相続人死亡時が基準となります。

 各相続人の遺留分の額は、遺留分算定の基礎となる財産の額に各相続人の遺留分の割合を乗じて、そこから特別受益がある場合は当該金額を差し引いて算出します。

 実際に請求する侵害額は、遺留分権利者にすでに相続によって得た金額がある場合は、遺留分の額から相続した金額を控除して算出します。

 

4 どうやって請求すればいいの?

  遺留分を侵害されている相続人は、遺留分を侵害している受遺者や受贈者、あるいは他の相続人に対してその侵害額を請求することができます。これを遺留分減殺請求といいます。遺留分減殺請求は、被相続人が亡くなり、遺留分が侵害されていることを知ってから1年以内、または相続が開始してから10年以内に請求をしないと、その請求権自体が消滅してしまうので、注意が必要です。もちろん、遺留分を侵害されていても構わない場合は気にする必要はありませんが、請求したいと思っている人や、また請求するかどうか迷っている人は、まずは請求権を行使しておきましょう。

遺留分減殺請求は、相手方に対する意思表示で足り、必ずしも裁判上の訴えによる必要はありませんが、後に証拠とするために内容証明郵便で行うのが一般的です。

  内容証明郵便を発送し、相手方がそれに応じて侵害分を返還してくれれば、それで解決しますが、協議が全く進まない場合も珍しくありません。そうすると、次のステップとしては家庭裁判所に調停を申し立てて、解決を図ることになります。調停では、調停委員を挟み話し合いを進めることになりますが、調停においても合意に至らず不成立となった場合は、訴訟を提起し、裁判上の決着を図ることとなります。また、調停を経ないで、最初から裁判を起こすこともあります。

 

 遺留分については、この他にも減殺請求する順序など、細かい点についても法律上定められています。遺産の内容が多岐にわたる場合や、遺産の評価など、疑問に感じることがあれば、まずは弁護士に相談されることをお勧め致します。

 

弁護士活動コラム   2016年03月01日   admin