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離婚に伴う慰謝料のあれこれ 【弁護士 中村 悦子】

 離婚事件では,「慰謝料を払ってもらいたい!」というご要望を必ずといっていいほどいただきます。そこで,離婚に伴う慰謝料についてランダムにまとめてみました。ご参考になれば幸いです。 (※なお,以下は基本的に家庭裁判所での離婚訴訟を前提とした内容とご理解ください。協議離婚や調停の場合には,当事者の合意で決まるので以下は当てはまりません。)

 

【どういうときに認められるの?】

 大きく分けて以下の2種類があります。

A:離婚することそのものに伴って生じる精神的苦痛に対するもの

B:特定の不法行為(ex. 不貞行為,暴力,精神的虐待)により生じた精神的苦痛に対するもの

 このうち,Aはどんな離婚のケースにも生じうるものなので,請求しても単独ではなかなか高い金額は認められにくいように思います。

 Bは,いわゆる『慰謝料』として,皆さんが一般的にイメージされるものです。

 

【慰謝料の相場は?】

 大変多くいただくご質問ですが,まず「請求する際の相場」はありません。慰謝料は,精神的苦痛を受けた方が,その苦痛の程度を金銭に評価し直して請求するものであり,『どのくらい辛かったか』は人それぞれだからです。

 ただ,そうはいっても,一般的な離婚訴訟の判決では500万円を超える金額の慰謝料が認められることはなかなかないのが実情です。多いのは100万円~300万円くらいの金額かと思います。

 なお,金額を決定する上で考慮される主な事情としては,

Aについて:年齢,同居期間の長短,婚姻生活の実情,子どもの有無,離婚(別居)に至る経緯,自活能力等

Bについて:不法行為の態様・程度・頻度,結果の重大さ等

といったものが挙げられます。

 

【きちんと慰謝料を取るためには?】

 これは主にBの慰謝料に関することですが,とにかく1にも2にも「証拠」です。しかも,被害を受けた方の記憶(これも立派な証拠なのですが)といった「主観的証拠」だけでなく,写真や診断書,録音テープやメモのような「客観的証拠」をどれだけ残せているかが勝負です。

 本当に辛い思いをして,傷ついて目の前のことで頭がいっぱいになっている時に,それを「記録に残そう!」とお考えになる方は,あまり多くないでしょう。しかし,裁判所の証拠としての評価は,どうしても客観的証拠の方が上です。きちんと写真を撮ったりすることが難しい場合でも,例えばカレンダーやその日の日記にどんなことがあったかを具体的にメモしておくだけで,ただ「覚えている」だけよりずっと程度の高い証拠になります。

これまでにも,DVの現場で咄嗟に携帯電話で録音した音声が功を奏したことや,日々の出来事をメモした手帳の記載が決め手になったケースがありました。

 

【配偶者の不貞相手から慰謝料を取りたい!】

 このご相談も多くあります。配偶者の不貞行為で離婚することになった場合には,配偶者とその不貞相手が共同で不法行為を行ったということになるので,不貞相手に対する慰謝料請求は理論的にはできます。

 ただし,前提として不貞行為の事実をきちんと立証できることが必要です。不貞相手の氏名・住所と,不貞行為の現場をしっかり証拠で押さえていないと難しいので,民間の調査会社に依頼される方も多くあります。

 また,『配偶者と不貞相手とが不貞行為を行ったこと』と『離婚せざるを得なくなったこと』との間に因果関係(=前者が後者の原因になっていること)がなくてはなりません。「配偶者が不貞行為を行う前に,既に夫婦関係は事実上破綻していた」という場合は,不貞行為が離婚の原因になっていないので,慰謝料請求が認められないのです。この点で実際の訴訟では,不貞行為が始まった具体的時期や,それ以前の夫婦関係が円満だったかどうかという点が焦点になるので,その立証が大変なケースが多いです。

 なお,不貞相手に慰謝料を払わせた場合は,その金額が,配偶者から慰謝料をもらう場合の金額算定の際に考慮されることになります。配偶者と不貞相手は,二人で共同して不法行為を行ったことになるため,法律上は「二人で」一定の額の慰謝料を支払う義務がある,と解されるからです。

 

【もらった慰謝料に税金はかかるの?】

 もらった慰謝料には,課税されません。(厳密にいうと,それが「社会的にみて相当な額である限り」非課税所得となるのですが,裁判所の判決で「社会的にみて不相当」なほど多額の慰謝料が認められることはまずありませんので,大丈夫でしょう。)

 

【判決で決まった慰謝料を払ってくれない時は?】

 この場合は,支払義務者に対して強制執行が可能です。つまり,給料や預貯金の差押え,不動産の差押えなどによって,強制的に取り立てることができます。ただし,全額を一度に執行することは難しいのが通常なので,一定の時間と手間はかかってしまいます。また,支払義務者に財産がない場合には,そもそも強制執行はできません。

 なお,支払義務者が離婚判決後に自己破産したような場合でも,Bの慰謝料として特定の行為について認定された慰謝料であれば,「悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権」として免責されない(=払うようにと法的に請求できる)余地があります。

 

 …いかがでしたでしょうか。

 もちろん上記は一般論に過ぎませんので,個別事情によって異なり得ます。ご不明な点等ありましたら,どうぞいつでもご相談ください。

弁護士活動コラム   2015年09月29日   admin